「体幹や重心を意識することが・・」(大学生・東京都・投手)

事前アンケート及び当日のヒアリングから

◆現在の状態を教えて下さい

・リリースで、よくひっかかる
・リリース時、感覚がない
・リリースポイントが分からない
・TOPの位置が気になる
・投げる相手に正対した方が投げやすい
・短い距離のキャッチボールが苦手
・以前と比べると、フォームが随分変わった感じがする
・投げると、対角線にばらつく(例:右投げの場合、相手の左斜め上、及び相手の右足付近へのショートバウンド)
・最近はキャッチャーが座るとストライクが入らなくなる。バッターが立つと入らない
 

◆悩み始めたきっかけは何ですか?

・肩を痛めて、フォームを変えてわからなくなってしまった
 

◆悩み始めた時期から、現在までどの位の時間が経過していますか?

・3年前

◆イップスについて、どなたかに相談されていますか?

・チームの監督、コーチ、同僚、先輩、後輩

◆これまでの経緯(概要)

以下本人談。
3年程前(大学1年)、入学してまもなく、フリーバッティングでのバッティングピッチャーを行ったことがきっかけではないかと思う。ピッチャー前のL字型ネットが投げづらく苦慮した。高校時代は殆どバッティングピッチャーをやったことがなかったので、L字のネットはとても投げづらかった。恐らく、その時は小手先で操作して投げ続けていたと思う。その後、更にスムーズに投げられなくなり、テイクバックを修正するようになった(途中肩も痛めた)。
あるプロ野球投手のグラブ側の腕の使い方を真似てみた。初日は良かった。だが次第におかしくなっていった。更に、高校時代の自分のビデオを繰り返し見ては、思い出すかのように再現しようと試みた。だが思い出そうとすればするほど、フォームが崩れていった。自分でもフォームが崩れているのが分かるようになっていった。
イップスは心の病(精神的なこと)が原因だと唱える先生のところへも暫く通うようになったが、よくわからない感じがした。監督、コーチにも相談した。「イップスだと思うのがいけない」とも言われた。親に相談したら、全面的応援してくれると言われた。

◆所感

”イップスは心の病(精神的)である”と思い込んでいた様子。事前に電話(line)で相談を受けていたため、来所した時にはある程度の誤解は解けてはいたものの、最初はまだ半信半疑の様子であった。

一通り誤解を解くべく、イップスの事実説明を行ったうえで、改めて現状のヒアリング。そして、すぐさま最初のキャッチボールを行った。すると彼から、
「今日は、何故だか調子がいいです。たまに、こんなことがあるんです・・」と。確かに彼のボールを受けていても、”今日は調子が良い状態”であることは感じ取れた。
「本当はもっとダメなんです。もっと腕の振りがひっかかって、リリースで力が抜けるんです」という。察しはついた。恐らく、今日は動作のタイミングが偶々合っているだけで、状態がいいのではなく”ましな方”だと思われる。一連の動作を見る限り、手先でボールをコントロールせざるを得ない状態であった。本来のフォームではなさそうなのは垣間見えた。

早速レクチャーに入った。先に、なぜ状態が良い時とそうでない時があるのか、そしてどうしてそうなるか?その原因の解説を行った。

理解が早かった。40分程で動作を交え理論の概要説明を終えた。早速キャッチボールを再開。すると「投げやすいです、いい感じです、引っかからない」と第1声。休憩して補足説明を行った。2回目「いいです。指にかかる。ボールの重みがある」。3回目、4回目と変わらず「いいです」と。
以降は、終了時間まで今回の基礎動作の反復練習を行った。心地良さそうであった。

翌日、「キャッチボールは良くなりました。ですが、捕手が座るとうまくいかないんですけど・・」と報告が入った。察しがついた。元々動作におけるクセがあった為、そのことが関与していると考えた。その対処について返信した。

まずは、キャッチボールが普通に行えるようになった事が何より。再起の活躍に期待したい。

「ボールコントロール」→「ボディコントロール」

◆受講者アンケート

 

トレーニングサポート研究所

所長 松尾 明

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