イップスの直し方

イップス治療の現状

治すと直す

2021年現在、イップス(局所性ジストニア)の原因は明らかになってきたももの、確実に完治できる治療法はまだ確立されていないようです。しかし、あらゆる方面より、多くの改善手法における知見が提示されてきました。以下、私が知り得る限りではありますが、イップスを「治す」及び「直す」ことにつきまして情報提供いたします。ご自身の状態と照らし合わせて手がかりとしてください。
尚、当研究所のイップスの直し方については、本ページにて後述いたしますが、本研究所は医療行為を行っていない為、「治療」や「治す」という表現は使っておりません。当研究所は現場指導のスタンスです。選手の状態に応じた動作改善及び克服指導です。そのため「直す」といった表現を使っております(直すとは状態を良くする、誤りを正す、改善する等の意)。ご了承ください。

イップスを治すために

脳外科手術

現在、イップスを治す(治療)という観点では脳外科手術のみだと思われます。従ってイップス(局所性ジストニア)症状がひどい場合は、脳神経外科で相談することをお勧めいたします。ただし、医師によって専門性が分かれる為、確認が必要です。当研究所のHP「イップス研究者、病院紹介」に、イップスに詳しい病院や学術関係者を紹介していますのでご確認ください。判別がしづらい場合はご相談ください。イップス克服指導の経験値から助言いたします→「無料相談(LINE・電話)」

ボツリヌス毒素

ボツリヌス毒素という神経のはたらきを鎮める注射のことです。筋肉の緊張やつっぱり、強ばりを抑制する効果があります。一定の効果が見込まれるようです。ただ、野球やソフトボールの場合、症状の多くが肩肘の不随意運動のため、肩肘そのものが動かしずらくなるかもしれません。一度問い合わせてみることをお勧めいたします(ご参考:東京女子医科大学 脳神経外科

脳深部刺激療法(DBS)

主にパーキンソン病の治療に用いられています。脳に電気刺激を加える治療法です。(ご参考:慶応義塾大病院医療健康情報サイト

イップスを直すために

根本的な動作技術を学ぶ

当研究所のスタンスと同様ですが、局所指導ではなく、投球動作の基礎、基本からきちんと指導いただける方からレクチャーを受けることをお勧めいたします。当研究所が局所指導を勧めない理由は、そもそもイップスのきっかけが、局所意識や局所修正による要素が非常に高いと考えられるからです。局所指導を受け、動作時のバランスを崩してしまい、更なる局所指導を受けた結果“継ぎ接ぎだらけのフォーム”になってしまっている選手をよく見かけます。

一時的なコンバート

なぜコンバートか?、ポジションが変わることで必然的にフォーム全体(一連の動き)が変わらざるを得ないからです。例えば投手なら捕手や外野手。捕手なら投手や外野手。内野手なら投手や捕手、外野手。外野手なら投手や内野手、捕手といった具合です。移行先のポジションでスローイングを行ううちに、それまでの違和感を伴う神経経路を使わなくなる可能性があるからです。不随意運動が起きにくいフォームが生まれるかもしれません。ただし基本的な投球動作を押さえることは必要です。

一時的なノースロー

なぜノースローか?ノースローを行うことによって、それまでの違和感を伴う神経経路を使わなくなるからです。体を動かさなくなると、動かなくなる。その理屈です。以前は2週間はノースローにしていただくよう勧めていましたが、より可能性を求めるために1ケ月は完全ノースローを試みてください。そうしてノースロー明けに、基本的な投球動作は押さえてから1球目を投げ始めることです。決して最初から速いボールは投げないでください。また、以前の投げ方に戻すという観点ではなく、基本から新しくフォームをつくり直すといったイメージで投げ始めることが肝心です。


→「注意!やってはいけない練習」

トレーニングサポート研究所のイップスの直し方(考え方)

礎の再構築、基本動作の再習得からフォームをつくり直す手法

改めて、過度な同一動作によって起きる運動障害をイップス(yips)と呼びます。神経科学ではこのような変化を「神経の可塑性(かそせい)による変化」と説明しています。可塑性とは、力を加えると力を加えた分だけそこに歪みが残る作用のことです。これを粘土に例えた場合、粘土の塊を指で押すと押した箇所に歪みができます。そして指で押した粘土からその指を離すと、押された分だけ凹んだままになります。元の形には戻りません。この性質を「神経の可塑性」と言います。すなわち、神経の可塑性の性質によってイップスが発症しているということです。当研究所では、このような科学的に明らかになっている情報を前提に、動作改善による克服指導を行っています。それは既に定着してしまった意に反する運動プログラム(崩れて定着してしまったフォーム)を、逆に各関節が機能的に連動し、安定動作が可能な運動プログラム(機能的なフォーム)へと再構築する手法をとっています。逆に「神経の可塑性」の性質を活用する考え方です。

動きの改善が全てといっても過言ではない

イップスは当たり前の動きができなくなるため、現状とのギャップに苛まれます。その結果ネガティブな動作イメージばかりが描かれてしまいます。チョーキング(あがりや分析による麻痺)も起きやすくなります。

当然のことですが、当たり前の動きがスムーズに改善され、さらに意図通りに動作を制御、再現できるようになると、自身の動作を信用し、信頼できるようになっていきます。当然メンタル面も充実します、自然と行動も態度も立ち居振る舞いもポジティブなものに変化していきます。

すなわち、自在に動ける実体験(手応え)が動作の心地良さ、好ましい情感を喚起し、イップス状態から脱するために必要だと当研究所は考えています。

イップスにパフォーマンスレベルは問いません

熟練者のみがイップスにかかるようなイメージは古くからの思い込みに過ぎません。何故なら、投球動作の自動化(無意識に動く)が為された選手であれば、小中学生の選手であってもイップスは起きているからです。これは事実です。症状の違いはあっても、起きていることは誰であっても同じです。フォームが崩れ、崩れたフォームのまま定着しているのです。

プロ野球選手、またはアマチュア選手で技能レベルの高い方について

当研究所では、一流の選手であってもアマチュアと同様の指導を行います。何故なら前述にある通り、個人差はありますが、パフォーマンスレベルに関係なくイップスの症状はほぼ同様だからです。ただ、一流の選手ほど基礎の構築、基本動作の習得がアマチュアに比べ、早くに出来上がっています。そのため、制御が利かない現実を目の当たりにすると、以前の自身とのギャップに苛まれてしまいます。また、一般的に一流選手ほど投球フォームの自動化のレベルが高く、手足等の関節の意識的操作がアマチュアに比べ圧倒的に少ない状態です。つまり、一流の選手ほど、そもそも考えながら動作をしていないということです。実はその自動化されたレベルの高さがイップスになった際、逆に仇となってしまうと考えられます。一流の選手において、あまりに当たり前過ぎる動作を意識的に引き出すことは簡単ではないということです。しかも学生時代から天性のセンスを持ち合わせ、早くからスムーズな自動化を獲得し、活躍していた選手ほど、イップスに陥った時のリスクは高いのではないかと見ています。
当研究所は、そのギャップを埋めるために、一流選手の注意が及ばない”当たり前の動き”を言語化し提供する指導を行っています。
(注)選手固有の”当たり前の動き”を意識喚起しても、運動動作を行う神経回路が既にオーバーラップしているため、なかなか意図通りには動いてくれないはずです。従って”思い出す”のではなく、投球時の重心(重力、重心線)を定めた理に叶った運動動作で一旦安定と安心を得て良好な動作感覚を獲得してから、新たな選手固有のフォームへとアジャストし直すイメージです。今まで以上に心地良い動きを目指します。

中高生・大学生等、技能レベルが発展途上にあるアマチュア選手について

中高生・大学生等、技能レベルが発展途上にあるアマチュア選手にとっては、投球の基礎、基本動作を教えてもらっていない選手がほとんどのようです。真似ることは大変良いことなのですが、恐らく基礎、基本動作がまだ身についていない段階で、一流選手の体の使い方を動画等で、ただ一部分を見よう見まねで投げてきた選手が多く見受けられます。また、本人の自発的な修正も含めて指導者による局所指導(修正)を受けている選手が非常に目立つように感じます。このようなアマチュア選手にも、最初のステップから(投球の基礎、基本動作)からレクチャーいたします。イップスを機に基礎、基本を学び直し、逆にこれまで以上の技能アップを目指していただきます。

草野球等アマチュア選手について

中高生時代からイップスを経験し、以後何年何十年と変わらず違和感のあるフォームが定着している方も少なくありません。野球を楽しみにしている方にも、一から丁寧にレクチャーし、フォームの再構築を目指していただきます。キャッチボールの心地よさを実感できるよう指導いたします。


投球動作の基礎・投球の基本動作(フォーム)再構築のイメージ

手応え→快→安心感

本コーチングは、イップスによって、連動性、再現性を著しく低下させてしまった選手に対して、投球動作の基礎と基本の学び直しのノウハウを提供し、更なる成長を遂げていただくよう、具体的で細かい指導、かつ実践的なレクチャーを行っています。

基礎的なフォーム再構築まで階段状に上がっていくイメージ図

1.動感(運動感覚)の再構築 ※手応えを得る

投球時における適切な重心位置を獲得する。重心の安定した投球動作は、安定したフォーム(型)の基礎をつくります。安定したフォームは、次第に手応えを感じ、投球動作の運動イメージを喚起します。

2.連動性を高める ※”快”な動きを得る

上半身と下半身及び左右との連動性が高まることで、より”快”の感覚を引き出します。連動性が高まることで、オーバーラップしている動きが次第に緩和されていきます。「投げていて心地良い、ストレスを感じない」といったコメントが聞かれるようになります。心地よい“快”の動きが起きることで、自ずと嫌な失敗イメージが軽減していきます。これら基本動作の成功体験を重ねて、好ましいセルフイメージ(動作イメージ)が生まれていきます。

3.再現性を高める ※安心感を得る

動感(運動感覚)を再構築し、連動性ある動作を発現出来るようになると、あとは、その好ましい動作に再現性を持たせるための反復練習を行います(過剰にならないよう、セーブしながらフォームの基盤固めを行います)再現性が高くなることで安心感が増し、スムーズに投げることができるようになっていきます。


上記イメージを具体的に転換したプログラムが「イップス克服コーチング」です