イップスの原因
イップスの原因は、一連の動作を過剰に繰り返し行った結果による運動障害と言われています。
イップス発生の前後
イップスの原因と発生フロー
既に明らかになっているイップスの原因をもとに、これまで当研究所の「イップスを直す(個人)」のレクチャーを受けた方々から得られた証言情報(『<きっかけ>及び『注釈①、②』)を加味して「イップスの原因と発生フロー」作成いたしました。※ご参考「受講者アンケートのまとめ」
<きっかけ>
イップスの<きっかけ>には「アクシデント型」と「チョーキング型」の2つのパターンがあります。
■「アクシデント型」・・故障や怪我(十分に癒えていない状態で練習や試合に参加)。球速やコントロール向上を目指すためのフォーム修正等
■「プレッシャー型」・・過度に緊張している状態でプレーしミス。又はミス直後によるプレッシャーが続いている状態での過度な反復動作によるもの
<原因>
過度な同一動作(同じ動きを何度も繰り返すこと)
※注釈①過度な局所意識
過度な局所意識とは、過度な同一動作のなかで、ある一部分を必要以上に意識して行う運動のことです。野球の投球(送球)で例えると、次のような内容です。
- テイクバックの軌道を意識しながら投げる
- TOPの位置、及び手のひらの向き等を意識しながら投げる
- グラブ側の腕の使い方、肩甲骨の使い方を意識しながら投げる
- リリース時の手首の使い方を意識しながら投げる
- リリース時の指の弾き方を意識しながら投げる
- 体重移動を意識しながら投げる
- 骨盤の使い方を意識しながら投げる
- 軸足の蹴り等を意識しながら投げる
※注釈② 過度な局所修正
上述※注釈①と連動。ああでもない、こうでもない・・と必要以上に関節の動きを修正しながら反復練習を行うこと。
<結果>
<きっかけ>→<原因>→<結果>。こうして元のフォームが崩れm意に沿わないフォーム(イップス)がつくられてしまいます。野球の投球(送球)で例えた場合、次のような結果となります。なお指導経験値から、どの程度、どれくらいの頻度で局所意識及び局所修正を伴う同一動作をすると、イップスに及んでしまうかは個人差が大きいようです。
- テイクバックの途中やリリースポイントで、手首が屈曲或いは伸展する
- テイクバックで、利き腕が必要以上に背中側に入ってしまう
- リリースで力感が乏しくなり、すっぽ抜けてしまう
- 必要以上に指先に力が入り、地面にボールを叩きつけてしまう・・・等
イップスにかかると、以前何ら問題のなかった頃のフォームを再現することが困難になります。結果、自身の運動制御に不安が生じ、自信が持てなくなります。イップスは運動障害(神経)です。制御感を取り戻すために医療、そして動作改善の介入(フォームの立て直し)が必要になります。
メッセージ
イップスは、年齢やパフォーマンスレベルに関係なくかかり得る運動障害だと考えられます。一定のフォームが定着している方であれば、誰しも起こり得ます。当然のことですが、当該競技に真剣に取り組んでいる選手や、人一倍向上心が強い選手ほど精度の高い技能の獲得を目指しているため、必要以上の反復練習を試みる傾向にあります。問題意識の高い選手も同様です。選手自身は勿論、指導者、ご父兄の方々はその点注意が必要です。