昨日3月15日(火)の報道ステーションで、イチローが、高校時代のイップス経験についてインタビューを受けていました。レポーターは稲葉篤紀氏(野球解説者・元日本ハム)。
稲葉氏「いつごろイップスだったの?」
イチロー「高校2年生の春です。・・・だって、投げることは当時、一番自信のあったものでしたからね。」
稲葉氏、「どうやって治したの?」
イチロー「センスです。これは努力ではどうしようもない。センスです。」と。
このコメントには納得です。確かにセンスと言えば”センス”です。イチローがどのようなことに気づいて、それをどのように行ったかはわかりません。しかし言わんとしていることは分かる気がしています。
ちょっとした動作のコツだと思うんです。心地良く投げられている時、どのようにやっていたか?その無意識的な動作について、「ああ、こういうことか!」と気づきがあったんだと思われます。
因みに、イチローがイップスになった主な理由は、当時の先輩、後輩関係によるプレッシャーだったようです。一般的にもイップスのきっかけは、ほぼ精神的なもの。という認識が多いです。ですが、実際には精神的なものばかりではないようです。
怪我明けの練習やオフ明け(ブランク)の最初のキャッチボール。テイクバックを小さくするようなフォーム変更等により、同様の症状が聞かれています※突如投げ方が分からなくなったり、感触鈍磨に感じられたり。逆に過剰な感触が生まれたりしています。まるで自分の腕ではないと感じる程、投げる事に関して制御感が薄れていきます。
多くは、日常の試合や練習もあることですから、その場を凌ぐ為に、どうしても小手先(肘、手首)で修正を掛けてしまいます。しかし、そのようなその場凌ぎの動作修正は、すればするほど、フォームが分からなくなり、制御不能になっていきます。その誤作動を起こした「型」(フォーム)が定着したものを私は「イップス」であると考えています。
イチローは、もしかしたら結構早い段階で気づいたのかもしれませんね。経験上、気づきが早ければ早い程改善も早いと考えます。なぜなら、その誤作動を起こした動きのプログラムが少ないと考えられるからです。良くないのが、だましだましその場凌ぎで、肘や手首の修正を重ねることです。本来のスムーズな動きから遠ざかってしまいます。注意が必要です。
本来の感触を取り戻せば、自ずと心も落ち着いてくるものです。動作の改善(好感触)が、心地良さを取り戻し、安心を生み出します。投球動作をまずは正すことです。
トレーニングサポート研究所
所長 松尾 明