注意!やってはいけない練習

やってはいけない練習に注意してください

①近距離ネットスロー(2、3ⅿ前にネットを設置し、防球ネットに投げ込む練習)

理由:本気で野球をしたい方には絶対にお勧めしません。結果的にかえって逆効果です。何度も何度もテイクバックや、手首の使い方を修正し続けるようになってしまいます。更に手先ばかりに意識が向かいます。局所意識、局所修正を助長してしまう可能性が非常に高くなってしまいます。小手先でボールをコントロールしてしまうフォームが定着してしまいます。
また、小手先でボールをコントロールするフォームが身に付くことで何が問題かというと、チョーキングが起きやすくなります。プレッシャーに敏感なフォームが出来上がるということです。プレッシャーを受けると、真っ先に手先の感覚に影響が出るのはご存知の通り。指先が過敏になったり、指先に力みが加わったりしてコントロールを失っていきます。イップスにかかり、更にチョーキングが起きるとその場を凌ぐことは勿論、後々の改善が大変です。注意してください。

リリースポイントを一定にする為に行っていることを耳にしますが、絶対におススメしません。稀に「自分はネットスローで、イップスが良くなった」という声を耳にしますが、ネットスローで良くなったというより、他の要素(コンバートやノースロー、基本的な投げ方の改善等)の結果だと考えられます。※10球~20球程度の確認なら良いですが、何十、何百球も投げるものではありません。

また、投げる相手が人相手ではないため(ネットに向かって投げるため)、自己との内的対話に陥りやすくもなります。※内的対話とは神経心理学で、言葉に出さない自己との対話です。確認程度の数球なら構いませんが、敢えて、繰り返し行う必要はありません。人の場合は、相手に注意を向けなければならず、自ずと意識が外側に向かいやすくなります。

→ネットスローにはやり方があります。詳しくは無料相談等でご相談ください。

②天井投げ(寝転がり、天井に向かって投げる行為)

理由:かえって逆効果です。意識が過剰に手先にのみ行ってしまい、手先ばかりでボールをコントロールする癖が身に付いてしまいます。イップスは「手首が利いていない」ということで、イップスの選手に、スナップスローを勧める方がいますが、そのような局所修正は絶対にお勧めしません。フォームが手首が利いていないのは、手首が利いていないフォームで構築された結果です。余計に手首への過剰意識がはたらきます。手首と腕の連動性を更に欠いてしまう恐れがあります。

→天井投げをやって、何等かの効果を期待するには、基礎と基本動作ができていることが前提にあります。

③シャドウ(利き手にタオルを持ち、タオルを振る。投げる動作を行う)

理由:腕でタオルを振ることばかりに意識が向かってしまいます。闇雲にシャドウを行ったからといって、フォームが固まるわけでもなく、コントロールがつく分けでもありません。ただシャドウピッチングを行った。という自己満足感が得られるだけです。シャドウピッチングで球速が上がるわけでもありません。

→シャドウピッチングは、数回の確認程度で良いです。タオルを持たない!“エア・シャドウ”をお勧めしています。

➃強引な遠投

理由:程よい距離なら問題ないですが、体勢を崩してまで投げたり、腕力に頼るような遠投は全くの逆効果です。絶対にお勧めしません。いくら「みんな毎日練習でいつもやっていることだから・・」と言っても、更に不具合さが増していきます。円滑な関節の連動を妨げてしまいます。結果、更にフォームを崩してしまいます。故障に繋がる可能性が高くなります。投げれば投げる程、本来の感覚から遠ざかってしまいます。

→遠投は、機能的なフォームが出来上がってから行ってください。不随意運動、不具合が続くイップスの選手が行うものではありません。

⑤テイクバックやトップ位置の過度な修正練習

理由:かえって悪化する可能性が高いです。

特に、テイクバックの軌道や、トップ位置に理想を描き、その軌道や位置にこだわり、過度な意識操作を試みると、それまでの動作の自動化は崩壊に向かいます。かえって手投げを助長します。
→テイクバック修正の仕方を間違えると、利き手が頭部に衝突して投げられなくなったり、余計な動き(不随意な動き)が生まれやすくなり、もとに戻らなくなってしまいます。

⑥ボールの握り方を変える

好ましいフィーリングを得るために、僅かに指をずらす程度であれば問題ないかと思いますが、親指の位置を変更したり、ボールの縫い目上部に指2本(人差し指、中指)をあてがっていたものを、指3本(人差し指、中指、薬指)に沿え変えたり、パームボールのように、ジャンケンの「パー」のような握りにするなど変更することはおすすめ出来ません。何故なら、それでもし投げ続けるとその握り方でないと、ボールをリリース出来なくなってしまう恐れがあります。

指先ばかりに意識が向かい、チョーキングを誘発しやすくなります。

⑦無理に以前のフォームに戻そうすること

無理に以前のフォームに戻そうとすればする程、イップスの状態維持か悪化が進みます(更に動きがギクシャクしたり、力感が薄れたり、結果継ぎ接ぎだらけのフォームへと発展してしまいます)。チョーキングと違い、イップスは運動プログラムそのものが問題です。以前の好ましい動作イメージは残っていても、体が意図する通りには動いてはくれません。もし、強引に以前のフォームに戻そうとすると、肩肘等の関節を痛める原因にもなります。イメージしている動作と、実際の動作の乖離も更に進んでいきます。結果、肩肘等の故障に繋がってしまいます。
→新たに投球の基礎、投球の基本動作から(最初から)構築し直すことが必要です※安易に小手先修正してしまうと、かえって”継ぎ接ぎだらけ”のフォームを構築する危険があります(上記⑤とリンク)。



以上、これらやってはいけない7つの代表的な練習(取り組み)は、これまでのイップス克服指導の実践知から得られた貴重なノウハウです。

イップスに悩む多くの選手は、これらのことをほぼすべて行ってきています。それも過度に。結果、“継ぎ接ぎだらけ”のフォームが出来上がっています。くれぐれもイップスの選手が行うとかえって逆効果になりかねないため。注意が必要です。

→イップス克服コーチング


イップスかな?と思ったら、まず出来ること(対処方法)

一時的なコンバート

なぜコンバートか?、ポジションが変わることで必然的にフォーム全体(一連の動き・特にテイクバック)が自然と変わらざるを得ないからです。例えば投手なら捕手や外野手。捕手なら投手や外野手。内野手なら投手や捕手、外野手。外野手なら投手や内野手、捕手といった具合です。移行先のポジションでスローイングを行ううちに、それまでの違和感を伴う神経経路を使わなくて済む可能性が高くなるからです。

一時的なノースロー

なぜノースローか?投げないことで、それまでの違和感を伴う神経経路を使わなくなるからです。体を動かさなくなると、動かなくなる(同じように投げ続けると、その動きが強化されてしまします)その理屈です。以前は2週間はノースローにしていただくよう勧めていましたが、より可能性を求めるために1ケ月は完全ノースローを試みてください。そうしてノースロー明けに、基本的な投球動作は押さえてから1球目を投げ始めることです。決して最初から速いボールは投げないでください。また、以前の投げ方に戻すという観点ではなく、基本から新しくフォームをつくり直すといったイメージで投げ始めることが肝心です。

→イップスの直し方