注意!やってはいけない反復練習

やってはいけない練習に注意してください

以下1~7の反復練習は止めておきましょう(現在、イップスではない選手もイップスへと発展してしまうリスクも高まるためお勧めできません)

1.近距離ネットスローの投げ込み(2、3ⅿ前にネットを設置し、防球ネットにボールを投げ込む練習)

理由:かえって、イップスの症状が悪化する可能性が高いからです。
特に職業選手(NPB、実業団選手等)等、本気で野球に取り組む方には絶対にお勧めしません。結果的にかえって逆効果です。理由は以下2点です。
リリースポイント、トップ位置やテイクバック、手首の使い方がより気になるようになります(局所意識及び局所修正が増す可能性が高くなります
チョーキングが起きやすくなるため

ネットスローは、リリースポイントを一定にする為に行っていることを耳にしますが、反復練習は絶対におススメしません。稀に「自分はネットスローで、イップスが良くなった」という声を耳にしますが、ネットスローで改善したというより、他の要素(基本的な投げ方の改善等)の結果だと考えられます。ネットスローは5球~10球程度の確認なら良いですが、反復練習として行うものではありません。

また、投げる相手が人ではないため(ネットに向かって投げるため)注意が内側に向かいやすい特徴があります。自己との内的対話(ああでもない、こうでもない..等の自己との対話)に陥りやすくなり、分析による麻痺(動作を一つ一つ考えながら投げる癖)が起きやすくなります。

2.天井投げ(寝転がり、天井に向かって投げる行為)

理由:かえって、イップスの症状が悪化する可能性が高いからです。
過剰に手先にのみ意識が向かい、手先ばかりでボールをコントロールする癖が身に付いてしまいます。イップスは「手首が利いていない」ということで、イップスの選手に、スナップスローを勧める方がいますが、そのような局所修正は絶対にお勧めしません。フォームが手首が利いていないのは、手首が利いていないフォームで構築された結果です。余計に手首への過剰意識がはたらきます。手首と腕の連動性を更に欠いてしまう恐れがあります。反復練習として行うものではありません。

→天井投げをやって、何等かの効果を期待するには、基礎と基本動作ができていることが前提にあります。

3.シャドウ(利き手にタオルを持ち、タオルを振る。投げる動作を行う)

理由:腕でタオルを振ることばかりに意識が向かってしまうからです。
闇雲にシャドウを行ったからといって、フォームが固まるわけでもなく、コントロールがつくわけでもなく、球速が上がるわけでもありません。ただシャドウピッチングを行った。という自己満足感が得られるだけです。

→シャドウピッチングは、数回の確認程度で良いです。タオルを持たない!“エア・シャドウ”をお勧めしています。

4.強引な遠投

理由:程よい距離なら問題ないですが、体勢を崩してまで投げたり、腕力に頼るような遠投は全くの逆効果になるからです。絶対にお勧めしません。
いくら「みんな毎日練習でいつもやっていることだから・・」と言っても、更に不具合さが増していきます。円滑な関節の連動を妨げてしまいます。結果、更にフォームを崩してしまいます。故障に繋がる可能性が高くなります。投げれば投げる程、本来の感覚から遠ざかってしまいます。

→遠投は、機能的なフォームが出来上がってから行ってください。特に不随意運動、不具合が続くイップスの選手が行うものではありません。

5.テイクバックやトップ位置の過度な修正練習

理由:かえって、イップスの症状が悪化する可能性が高いからです。
特に、テイクバックの軌道や、トップ位置に理想を描き、その軌道や位置にこだわり、過度な意識操作を試みると、それまでの動作の自動化は崩壊に向かいます。かえって手投げを助長します。
→テイクバック修正の仕方を間違えると、利き手が頭部に衝突して投げられなくなったり、余計な動き(不随意な動き)が生まれやすくなり、もとに戻らなくなってしまいます。安易にテイクバック等の小手先修正を行うと、かえって”継ぎ接ぎだらけ”のフォームが出来上がってしまいます

6.ボールの握り方を変える

理由:かえって、イップスの症状が悪化する可能性が高いからです。
好ましいフィーリングを得るために、僅かに指をずらす程度であれば問題ないかと思いますが、親指の位置(支え)を変更したり、ボールの縫い目上部に指2本(人差し指、中指)をあてがっていたものを、指3本(人差し指、中指、薬指)に沿え変えたり、パームボールのように、ジャンケンの「パー」のような握りにするなど変更することはおすすめ出来ません。
何故なら、その握りでもし投げ続けると、その握り方でないとボールをリリース出来なくなってしまう恐れがあるからです。特に捕球後のボールの握り替えが上手いかなくなります。よって新たな送球難を抱える一因が生まれてしまいます。ボールコントロールに余計に神経を使うようになります。

指先ばかりに意識が向かい、チョーキングを誘発しやすくなります。

7.無理に以前のフォームに戻そうすること

理由:かえって、イップスの症状が悪化する可能性が高いからです。
無理に以前のフォームに戻そうとすればする程、イップスの状態維持か悪化が進みます(更に動きがギクシャクしたり、力感が薄れたり、結果継ぎ接ぎだらけのフォームへと発展してしまいます)。チョーキングと違い、イップスは運動プログラムそのものが問題です。
以前の好ましい動作イメージは残っていても、体が意図する通りには動いてはくれません。もし、強引に以前のフォームに戻そうとすると、肩肘等の関節を痛める原因にもなります。イメージしている動作と、実際の動作の乖離も更に進んでいきます。結果、肩肘等の故障に繋がってしまいます。
→新たに投球の基礎、投球の基本動作から(最初から)構築し直すことが必要です。安易に指先や肘、肩等の小手先修正を行うと、かえって”継ぎ接ぎだらけ”のフォームが出来上がってしまいます(上記⑤とリンク)。



以上、これらやってはいけない7つの代表的な練習(取り組み)は、これまでのイップス克服指導の実践知から得られた貴重なノウハウです。

イップスに悩む多くの選手は、これらのことをほぼすべて行ってきています。それも過度に。くれぐれもイップスの選手が行うとかえって逆効果になりかねないため注意が必要です。気をつけてください。

→イップス克服コーチング


イップスかな?と思ったら、まず出来ること(対処方法)

一時的なコンバート

なぜコンバートか?、ポジションが変わることで必然的にフォーム全体(一連の動き・特にテイクバック)が自然と変わらざるを得ないからです。例えば投手なら捕手や外野手。捕手なら投手や外野手。内野手なら投手や捕手、外野手。外野手なら投手や内野手、捕手といった具合です。移行先のポジションでスローイングを行ううちに、それまでの違和感を伴う神経経路を使わなくて済む可能性が高くなるからです。

一時的なノースロー

なぜノースローか?投げないことで、それまでの違和感を伴う神経経路を使わなくなるからです。体を動かさなくなると、動かなくなる(同じように投げ続けると、その動きが強化されてしまします)その理屈です。以前は2週間はノースローにしていただくよう勧めていましたが、より可能性を求めるために1ケ月は完全ノースローを試みてください。そうしてノースロー明けに、基本的な投球動作は押さえてから1球目を投げ始めることです。決して最初から速いボールは投げないでください。また、以前の投げ方に戻すという観点ではなく、基本から新しくフォームをつくり直すといったイメージで投げ始めることが肝心です。どうしていいかわからない場合は、ご相談ください。
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→イップスの直し方