正しい投げ方とは
正しい投げ方とは、重心が安定した投げ方
当研究所が考える「正しい投げ方」とは、客観的であり、合理的であり、偏りがない動作のことを指します。さらにいうなら重力を効果的かつ効率的に活かし、重心が安定した投げ方をしている選手であると当研究所では定義しています。重心の安定は、年齢や技能レベルにかかわらず、誰もが獲得可能なスキルです。ボールコントロール及び球速向上において欠かすことのできない最優先すべき要素であると考えています。
重心が安定した投げ方とは、基礎+基本動作が構築された投げ方
当研究所では、正しい投げ方(重心が安定した投げ方)を構築するために『基礎』と『基本動作』に分けてレクチャーをしています。安定した重心を獲得するまでを『基礎』の構築としています。『基礎』がコントロール及び基礎の土台でありパフォーマンスの源です。『基礎』が構築されている状態で再現性の高い動作を創り出す動きが『基本動作』です。『基本動作』が安定して出来るようになると、動作の加減調節がスムーズになり「応用動作」に対応する選択肢が増え、より実践的な場面での対応能力向上に役立つと考えられます。※なおチョーキングを頻繁に起こし、制球に苦しむ選手の多くは、この基礎と基本動作が課題だと窺えます。
『基礎』『基本動作』を体得しているフォームは関節の連動性、動作の再現性が高いことが特徴です。従って、投げ込みや遠投等の負荷を与える反復練習は『基礎』と『基本動作』を体得したうえで(フォームが定着したうえで)行うべきものです。いくら反復練習を重ねても、いくら筋力トレーニングを行ってもパフォーマンスアップ(球速向上)に繋がらない選手は『基礎』『基本動作』を見直してみる必要があります。
重心が安定した投げ方の理解(基礎、基本動作の理解)はなぜ重要なのか?
重心が安定した投げ方を理解し体得することは、自身の能力発揮はもとよりフォームの効果性、効率性、再現性、球速調節等に置いて欠かすことの出来ない要素だからです。毎年のようにコンスタントに好成績を挙げている多くの一流選手は、この基礎と基本が自然に出来ていることが窺えます。
また、重心の安定した投げ方を体得することで、思いもよらない故障や筋力トレーニングによる筋力のアンバランス化、そしてイップス等のアクシデントに見舞われた場合、何からどう修復すべきか、その立ち返る原点を理解し、自身で修復が可能だからです。
重心が安定した投げ方(基礎、基本動作を体得しているか否かの見極め)
正しい投げ方が出来ている選手 (重心が安定している状態) | 正しい投げ方がまだ出来ていない選手 (重心がまだ安定していない) |
⊡投球動作が心地よい | ⊡投球動作が(あまり)心地よくない |
⊡自動化されたシステムで投げているため、ボールコントロールがラク | ⊡腕力や手先で投げているため、ボールコントロールにムラが多い |
⊡緊張やプレッシャーが掛かっても、コントロールが乱れにくい (許容範囲内) | ⊡緊張やプレッシャーが掛かると、コントロールが頻繫に乱れやすい (大きく影響を受ける) |
⊡フォームの再現性が高い | ⊡フォームの再現性が低い |
⊡球速調整がカンタン | ⊡球速調節が苦手 |
⊡関節可動域が拡がりやすい | ⊡関節の可動域が限定的 |
⊡ストレートにキレがある | ⊡ストレートのキレが今一つ |
⊡スローイングミスが少ない | ⊡スローイングミスが自然と多い |
⊡局所指導、ワンポイント指導で改善しやすい | ⊡局所指導、ワンポイント指導等では、改善しない※基礎、基本動作が不十分。 |
正しい投げ方が構築されていることで、反復練習の効果が表れます。正しい投げ方が出来ていれば体の成長(身長、体重、筋力)と共に球速もコントロールも増していきます。しかし正しい投げ方が、まだ出来ていない状態であれば、機能的な関節連動が構築されていないため、練習すればするほど、かえって非効率なフォームが定着してしまいます。
なお上の表で、左側(正しい投げ方が出来ている)にチェックがほぼ当てはまる選手は、既に自然とマスターしている可能性が高いため、敢えて改めて学ぶ必要はありません。